こんにちは。
陶芸家ニナルッ!と奔走中のmachicoo です。
先日、学校の授業で2種類の低温焼成をしました。前回は黒陶について書きましたので、本日はもう一つ、アメリカン楽焼のレポートをしようと思います。いろいろとハプニングもありましたが、自分でする窯出きは格別なものでした〜!
黒陶についてはコチラをどうぞ。
【窯の魅力】〜燻製の香り漂う〜低温焼成#1 黒陶 - 陶芸家ニナルッ!
- アメリカン楽焼って?
日本の楽焼を欧米の方が真似て生まれたと言われている、アメリカン楽焼。
コンパクトな手作りの窯で釉薬が溶けるまで焼成し、溶けたら窯を開けて取り出し、一斗缶などを被せ一気に還元をかける。還元をかけずにそのまま放置すれば酸化にもなる。還元をかけたあとは、水の中に入れて急冷して煤を取ったら完成です。
陶芸にご縁のある方でないと、?!どういう意味?!ですね。焼き上がりの風合いを途中でコントロールしているのです。コントロールできると言っても再現は難しく、一発勝負です。やはり陶芸は最後は窯任せなのです。
- アメリカン楽焼の手順
授業ではこんな進め方をしました。
①施釉
予め素焼きしておいた作品に低下度焼成用の釉薬を刷毛で塗る。沈澱しやすい釉薬で、大変でした….
釉薬の種類は透明、ターコイズ、ルイーズコパー、コバルト、紫の5種類。還元をかけるとキラキラ(ギラギラ?)とラスターがかかるのが、ターコイズとルイーズコパーということでこの2つが人気でした。
②焼成
耐火レンガを積み、用意されていたカバーをかぶせたら窯の出来上がり。ガスバーナーを入れ、上の穴から釉薬の溶け具合を観察します。釉薬が溶けたら窯のカバーを外し、火ハサミで挟んで素早く移動させます。熱されて赤く輝く作品を挟む、なかなかない経験です。とても美しい赤です。
③還元をかける
還元とは、酸素が極力ない状態で焼成することを言います。
もみ殻を敷いた場所に作品を置き、還元効果を上げるために新聞紙を上に置いて火をつける。火が付いたら一斗缶やバケツなどを被せて約10分置く。内部では酸素が奪われて、還元がかかることになります。
④急冷
10分経過後、素早く水を張ったシンクへ沈めて急冷する。急冷するのは還元状態を定着させるため。急冷せずに自然に冷ますと、冷めるときに酸素に触れてしまい酸化状態になってしまうのです。急冷の際にできる貫入(釉薬に入ったヒビのこと)もアメリカン楽の魅力の一つです。
⑤煤をおとす
冷めたら金タワシでゴシゴシこすってついた煤を落として完成です!
透明の釉薬は貫入に煤が入って黒い模様ができます。銅が入った釉薬は還元をかけるとギラギラとラスターがかかり、高温焼成では出ない色が出ます。やる前はギラギラしていてどうなのかな、、、と思っていましたが、目の前で起こる釉薬の変化に虜になりました。そして嗅ぐと燻製のような香りがぽわ~んとひろがり、なんとも言えない満たされた気持ちになりました!
- お抹茶をいただきました
今回、抹茶碗が2つできました。1つが黒陶、1つがアメリカン楽。自作の抹茶碗でいただく秋の味覚、岐阜県中津川銘菓の栗きんとん。いいものですね~。
(╹◡╹)最後までお読みいただきありがとうございます
実は、ハプニング続きの焼成でした。自然豊かな場所での焼成だったので、人生初めてヒルに血を吸われ・・・。黒陶の窯に親指を強打し、ヒビが入り・・・。 それでもすごく充実した時間でした。
ヒビは今でも治療中で、作陶はお休みです・・・。陶芸をやる者として手は大切にしないと、と改めて思いました。
それではまた!
machicoo