陶芸家ニナルッ!

好きなことして生きていきたい!40代OLの奮闘記です

【制作現場より】リクエストはピンク色のマグカップ

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こんにちは。

友人からのリクエストで作ったマグカップ。構想〜完成、プレゼントまでの道のりを書いてみます。

 

ことの始まりは以前プレゼントしたマグカップ。内側に白マット釉をかけ、外は白と辰砂の2色使いのもの。写真の右側のものです。

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マット釉は細かい凹凸があり、そこに汚れが入ってしまい茶渋などが残りやすいのですが、この時はマットの質感、飲み物の色が映える白、を選んでかけました。

 

制作者としてはたくさん使って欲しいですが、汚れを気にして、もったいない、とお水とお湯しか飲んでないと聞きました。笑

大切にしてくれるのは嬉しいことですが、それなら、今のよりは汚れを気にしないで済むマットではないのを作るよ!ということになったのです。

 

希望を聞くと、ピンク色というだけで、あとはお任せ!というシンプルなもの。デザインを考えるところから始まりました。

 

前は背が低くて丸っこいコロンとした感じだったので、今回は細くて背を高めにすることに。なにかポイントが欲しいなーと思って柄を検討。私が考えるとポップな感じになりやすい。でも彼女は女性らしい綺麗目なものを好む印象。

こうしてレース模様に辿り着きました。

 

  • レース模様の施し方

まず、家にあった編まれたレースを作品に押し当てて実験しましたが、作品の硬さの問題で模様を土に写すことは難しい。そのため、下絵の具やいっちんで描く、または模様を掘る、のいずれかが候補となりました。

自分の力を考えると、描くより掘る方が上手くできそう、ということで掘ることに決定。

 

レース模様はネットで検索すると描き方の手順がたくさん出てきます。複雑に見える模様も一つ一つのパーツの組み合わせとなっていて、描き方を見ているとヘェ〜という感じ。おもしろいです。

 


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こうして、電動ろくろで成形→削り→レース模様の下書き→掘る→把手をつける→素焼きをしました。

 

  • ピンク釉のテスト

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ピンクということは決まっていたので、色が綺麗に出るように、白土を使うことは決定。焼成を酸化にするとより綺麗に。還元にすると少しトーンが落ちて大人っぽく。作りかけていた植木鉢にかけてテストしてみました。

迷いましたが、右側の酸化焼成に決定!

 

  • 施釉〜本焼き

当初はピンク一色の予定でした。教室の先生から、掘った部分が釉薬で埋まり模様がわかりにくいかもしれない、というご指摘をいただきました。しまった!と作戦を考え直して、掘った部分に釉薬を埋めてピンクの線が出るようにしました(象嵌)。その周辺は釉薬をかけない、または透明にするかの二択。無釉よりも透明のほうが同じ質感でピンク釉とのバランスがいいのでは?と思い、透明釉に決定。

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2色のかけ分けは結構手間がかかります。

全体にピンク釉→ピンクを残す部分に撥水剤→透明釉をかける部分の釉薬をスポンジで拭う(模様の部分はピンクが埋まっている)→透明釉→撥水剤のうえに透明釉が残ってしまった箇所を拭き取る

こうして本焼へ。

 

  • プレゼントの反応

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涙腺の弱い彼女。開封すると涙。笑。予想以上に喜んでくれました。

私が絵付けとかポップなのが好きそうと思っていたから今回の作品は意外だったとのこと。こんなのも作れるんだとやけにびっくりしてくれていました。

 

色違いなど展開すれば良いよー、母も絶賛!とのこと。気に入っていただけたようです。今回のはあくまでも彼女のイメージに合わせて作ったので、今、私がテストしてるのはぜんぜん違うんだ〜と説明しました。自分でも好きな作品になったので、自分の引き出しの1つになりそうです。

 

  • おまけのお皿

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制作過程で小さめのカップができてしまったため、それに合わせてソーサーを作っていました。肝心のカップは素焼き前に割れてしまい、ソーサーだけが残り、、、。でもせっかくなので焼きました。全体をピンクにしたものと、マグカップのように2色かけ分けたのもの。サイズがマグカップとは釣り合わないのですが、もしよければこれもプレゼントするよ、と話したところ、2色コンビのほうを選んでくれました。1枚は自分の手元に残しました。

 

仕事のストレスやらで陶芸のテンションも低めだったのですが、喜んでくれる姿を見てちょっぴり気持ちが上がりました。ありがとう〜。

 

プレゼントシリーズはサプライズが1つ控えてます。すでに完成しているのであとはお渡しのみ。また渡したらレポートしますね。

 

それではまた!