陶芸家ニナルッ!

好きなことして生きていきたい!40代OLの奮闘記です

【ニッポンの手仕事】ベンガラ染め(岡山県吹屋)

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こんにちは。

夏休みを利用して岡山県をじっくり旅してきました。その一つが岡山県高梁市(たかはしし)の吹屋地区です。

 

  • 吹屋地区とは

かつてベンガラと銅の生産で栄えた鉱山の町、吹屋。当時の住人が相談して統一した景観作りをしたという進んだエリアだったそう。日本遺産に認定されて町並みが保存され、当時の小学校が修復されて見学できたり、ベンガラ生産の資料館などもあり、観光地となっています。

 

実際、ベンガラ(赤)色の屋根で統一された町並みは圧巻でとても素敵でした。赤い屋根といえば沖縄以外にこちらくらいしか思い浮かばないな。


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  • ベンガラとは

ローハという鉱物の中の酸化第二鉄の成分から作る赤色顔料で、インドのベンガル地方が語源などと言われているようです。色褪せない、無害な原料でラスコーの壁画など、古くから使われていて、日本では有田焼、伊万里焼などの絵付けにも使われていました。

 

陶芸の世界でベンガラの存在を知った私は、染物など陶磁器以外でも多様な使われ方をしてきることに驚きました。今回勉強したことで、釉薬作りの時に使うベンガラ、酸化鉄が手につくと落ちにくいことに納得しました。

 

  • ベンガラ染め体験

すっかりベンガラ色の世界に魅了され、染め物体験をすることに。大判のハンカチを染めました。先生の手解きがあるのでとても簡単!

 

手順はこんな感じ。

1.白抜きする箇所に紐をぐるぐる

 意図したデザインがしっかり出るよう、キツく結ぶのがポイント、ということだったので手が痛くなるほどぎゅっと巻いていきました。

2.好きな色をチョンチョンと筆で乗せる

 色は重なってもいいそう。端っこの大きな面の色で全体の雰囲気が変わるデザインだったので、紫色ベースでカラフルにすることに。ベンガラっぽい赤系と、黄色や緑も。欲張って全種類使いました。笑

3.終わったら、紐を解いてすすぎ、脱水機にかけたあとに干しておしまい!


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このあとはお店の方が媒染という色を定着させるための作業をして、色褪せなどのチェックの上、2週間くらい後に郵送していただきました。

 

届いたものはこちら!

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かなり好みの仕上がりだったので、とても嬉しくなりました。大判のなのでミニスカーフとして早速使ってみました。

 

自分で染めたものを使う暮らし、テンションあがりますね。吹屋まで行けなくとも、全国津々浦々、いろんな染め物体験ができると思います。簡単なので皆さまも機会あればトライしてみては?

 

それではまた!

 

 

【制作現場より】初めての登り窯焼成

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こんにちは。

陶芸仲間にお誘いいただき、初めて登り窯の窯炊きに参加させていただきました。

 

焼成は約3日間。

作品は予め発送し、窯詰めはお任せです。私は中日にお手伝いをしました。私がいた頃の温度は850度から1100度くらい。2時間で50度ずつ上げるように温度計を見ながら薪を入れるタイミングを見計らいます。最終的には1250度を目指します。

 

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窯の形状は下の部屋と上の部屋の2層で、作品は上の部屋のみに入っています。下の部屋は常時750度〜800度をキープするように、大きな薪で調整します。上の部屋は左右両サイドにある小さい穴から、細い薪を一回あたり2〜3本入れていきました。上下どちらも、投入口には蓋があり、温度が下がらないようになるべく開けている時間は短く、スピーディーに。1000度を超えた頃には30秒に1回くらい入れてもいいくらい、また、温度が予定より低いよりは高いほうが望ましいとのこと。低温のうちは割れる可能性があるので温度により気を使いますが、最終的に1250度まで上がらないこともあるため、高温になってきたら上がっているうちに上げる方が良いとの判断のようです。

 


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参加者で担当を交代しながら、薪割りも。電動薪割り機の存在を初めて知りました!両側から挟んで圧をかけるとパリッ、と裂けていきます。木目によってはうまくいかない場合もあり、きれいに割れると爽快です。笑。単純作業を無心で取り組むのも気持ちがいいものです。

 

途中、山間部ならではのスコール的な豪雨に見舞われました。窯に水が来ないよう、まわりの地面をスコップで掘り、臨時の水路を作り水を誘導します。何回もお手伝いに来ている男性陣が手際良く対応してくださいました。ものづくりをしている方々というのは、自分で工夫して切り抜けることに慣れているなあと感じました。

 

私は見届けられませんでしたが、最後は予定通り1250度まで上昇し、窯炊きは無事に終了しました。

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終わってもすぐに作品を取り出せるわけではありません。急冷は御法度。割れてしまうのでゆっくり冷ましていきます。1週間後に窯出しが行われ、郵送していただきました。

 

作品はこちら!


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陶芸教室でテストしたときはほとんど変化しなかった緋襷の模様が出ています。

中央に施した牡丹餅(道具土を置いて火の当たりをガードする)も外側との色味の変化を作ってくれました。

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少し残念だったのは灰がかからなかったこと。器のフチに艶があるのがわかりますでしょうか。投入した薪が燃えてできた灰が被ると、土と反応してガラス質になると言われています。いわゆる自然釉です。薪窯の醍醐味でもあります。

 

自然釉もプロになれば経験を重ねて予想しある程度コントロールもできるようですが、基本的にはできてみないとわからないもの。灰がかからやすいのは薪の投入口から近いところ、つまり前列です。今回は窯詰めをしていないので自分の作品がどこに入っていたかはわかりませんが、ビジターとしての参加でしたし、おそらく前方ではないでしょう。

最前列は薪が当たって割れる危険もありながらも、灰の影響が出やすく特等席なんですよ。^_^

私としては、目指していた緋襷と牡丹餅による模様を出すことができたので満足しています。

ちなみに、正円で作りましたが、少し歪みが出ました。

 

欲しかった大皿ができたので、今まではギューッと密集して積み上げて盛っていた天ぷらを、ゆったりおしゃれに盛り付けてみようと思います。

 

それではまた!

【制作現場より】緋襷and牡丹餅 再焼成②酸化

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こんにちは。

登り窯でやるためのテストとして教室の電気窯でやった緋襷と牡丹餅。

一回目の焼成(酸化)では全然変化が出なかったため再焼成をしました。

 

テストは2枚あったので、再焼成は1枚を還元でもう1枚を酸化でやってみることに。還元の結果はひとつ前の記事をご覧ください。

今回は酸化の再焼成の結果を書きます。 

 

最初の焼成の際に松灰をふりかけていて再焼成は多めの藁と道具土を設置して酸化で焼きました。


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結果はこちら


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んん?変化をあまり感じない気配、、、

藁を取って水洗いして全貌を確認


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うっすら藁の跡が。

 

こんな感じで、酸化、還元ともに再焼成でも大きな変化は出ないまま、本番に至りました。笑

 

本番の結果はいかに?!

それではまた!

【制作現場より】緋襷and牡丹餅 再焼成①還元

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こんにちは。

久しぶりの投稿です。あっという間に1ヶ月ほど経ってしまいました。

 

前回書いた緋襷と牡丹餅の初挑戦。思うような結果が出なかったので再焼成をすることに。私の通う陶芸教室では再焼成代は無料なので助かります。

前回、お皿を2枚とも酸化焼成しましたが、再焼成は還元、酸化1枚ずつ試すことにしました。

 

まずは還元です。


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藁を多めに敷き、また、無釉はやめて松灰を振りかけました。

 

焼成前はこちら↓(右)

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焼成後はこちら↓


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洗い流すとこんな感じ↓


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結果は...

藁の跡はほとんどわからず、松灰をかけたことにより、道具土を置いたところとの変化が出ただけでした。

 

藁のラインが欲しかったのに、、おかしいなぁ、、。笑

 

次回はもう一枚を、酸化で再焼成した結果をお知らせします。

 

それではまた!

【制作現場より】はじめての緋襷、牡丹餅に挑戦!

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こんにちは。

7月に登り窯の焼成に参加することになり、大皿を作っています。登り窯といえば、釉薬をかけずに焼き締めるイメージ。燃えた薪からできた灰が作品に被るとそこが自然でできた釉薬になったり、火の通り道と火が当たらない場所で色の変化が出たり。

 

本番の窯詰めは主催者にしていただくのですが、お願いすれば緋襷などの装飾もしてくださるのとのことで、挑戦をすることにしました。

 

  • 緋襷(ひだすき)、牡丹餅(ぼたもち)って?

https://bizenyakija.com/bizenyakiColor.html

備前焼の代表的な模様のうちの2つを指します。詳しくは上記のサイトをご覧ください。ざっくり言うと緋襷は藁の成分と土の鉄分などが反応して藁の敷いていた部分に模様ができるもの。牡丹餅は耐火粘土(道具土)などを置いて火が当たらなくすることによる差で模様ができるものです。

 

  • テスト

本番の登窯の前に、陶芸教室で実験をすることにしました。結果を参考に本番のやり方を検討するためです。

 

以下の2通りをテスト。


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左のは藁の上に道具土。藁はわざと道具土から少しはみ出させてそれも模様になることを期待。灰がかぶった様子として、松灰を茶漉しを使ってふりかけました。

右は道具土を置いた3つが丸い模様に、藁を置いたところがオレンジ色のラインになるイメージで置きました。

 

結果は、、、。


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藁の跡が全くついていません。笑

松灰をふりかけたところだけ釉薬となり、変化。松灰をふりかけないと、道具土の跡もつかず、、。

 

どういうことでしょう、、。結果が出ないまま、本番を迎えることになりそうです。

本番は模様が出るといいなぁ。

 

それではまた!

 

【制作現場より】電動ろくろで大皿に挑戦!②削り

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こんにちは。

今年の夏に登り窯に入れるための大皿作り。前回は電動ろくろで成形までお伝えしました。本日は高台などを作るための削り〜乾燥です。

 

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大皿の削りは裏返しして中央にセットするのが大変。重くて、置いた衝撃で口元が変形する心配があります。上下を板で挟んで裏返しするのがいいようです。

中心に置くために、通常はろくろ を回しながら横からコンコン叩いて調整していくのですが、重いから動かず、強くやると変形や傷になりそうで少しずつ両手で動かしたりしました。

 


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そんなこんなで、なんとか削りまで終わりました。素焼き前に完全に乾燥していないと窯で爆発して作品が壊れてしまいます。大物の乾燥はまた勝手がちがいます。急乾燥は失敗の要因になるのでゆっくり。底が乾きにくいため、口元を下にして乾燥させます。

底の土がしっかり締まっていないとS字クラックが発生したりするのでドキドキです。

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先に作ったほう(右)は乾燥が進み問題なさそうです。どちらかは生き残ってもらわないと〜。笑

 

それではまた!

 

【制作現場より】電動ろくろで大皿に挑戦!①成形

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今年の夏に行われる登り窯の窯焚きのお誘いをいただき、参加することにしました。自分の作品1点を入れることができるとのこと。

 

サイズはお皿なら30㎝くらいということなので、せっかくなので大皿に挑戦してみることにしました。最近は釉薬のことが多かったので、ちょっと脱線です。

 

必要な土の量がわからず、まず3kgを使いやってみました。大きくはなったものの、ブレたり、へたったり。ダメな部分をカットして仕上げたら、小さい小さい。笑。

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しっかり習おう!と思い陶芸教室で先生にご指導をいただき、前進。直径29㎝と31㎝のものができました。


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一見、綺麗にできているように見えますが、制作過程は危うさ満載。先生の手順だと土殺しは穴を開けてドーナツ状にしたタイミングで行うのですが、これが難しくなかなかブレが取れませんでした。諦めようかな、、、と思うくらいの状況でしたがなんとか形になったという感じ。そのため再現性がないのです。

 

ただ、今までやりもせずに“私にはまだ出来ない”と思ってしまっていたので、今回トライしてみてよかったです。

 

あたかも完成したような話ぶりですが、まだまだ工程は続きます。次は削って高台を作ります。削るのに適した硬さまで乾燥をさせます。

このサイズの乾燥も未知の世界。急乾燥させるとヒビなどの原因になるので均一に乾かしたいのですが要領がわからない。

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小さい器とは明らかに乾燥のスピードが違う感じで、ビニールにいれておくとしっとり手につく感じが続きます。これでは底はなかなか乾かないので、底の下にタタラ板を3枚噛ませて浮かした状態にしました。タタラ板に重さが集中すると器が変形してしまいそうなので3枚に。

 

という感じで、目が離せません〜。生き物を育てているようですね。2個あるので、どちらかでも生き残りますように!続きはまたご報告します。

 

それではまた!